先輩を訪ねて
Persons
現在はどのようなことをされていますでしょうか
会社の将来を担うべく、既存事業とは違う新しい事業を生み出すための活動を推進しています。自社の研究開発の成果だけでなく、コーポレートベンチャーキャピタルやスタートアップ連携などのオープンイノベーションも含め、様々なアプローチによる事業機会の探索と事業化仮説の立案および検証を進めています。また、自社のコア技術を強化するための仕組みや制度を整備し、全社に展開する技術行政の役割も担っています。
現在の活動(研究も含め)はどのようなきっかけで始められたのでしょうか
入社時は研究所に配属され、数年間は既存事業に関わる材料開発を担当していました。自分が開発した材料が製品になる喜びと緊張感を知るなど、貴重な経験を積むことができました。
その後、新しい事業を生み出す業務に挑戦すべく、社内の人材公募制度を利用して、新規事業のプロジェクトに自ら手を挙げて異動しました。それからはずっと新規事業界隈で仕事をしています。2007年からはコーポレート(本社)組織に異動したことで、全社の活動を俯瞰的に見る視点も養うことができたと思います。
大阪大学理学研究科・理学部時代に、心がけていたこと・大切にしていたことは何ですか
お世辞にも真面目な学生とは言えず、勉強面で語れることはあまりないのですが、サークル活動やアルバイトでいろんな人と触れあい、様々な経験ができたことは、今の自分にとっても貴重な財産となっています。
社外の方とのネットワークを作ること、他流試合をすることは、今も大切にしていることであり、チームのメンバーにも積極的に社外に出るように促しています。
大阪大学理学研究科・理学部時代に印象的なエピソードがあればお教えください
大学院重点化の時期に研究室配属されたため、B4からM2までの3年間で毎年所属研究室名が変わりました(B4:小高忠男 研究室、M1:森島洋太郎 研究室、M2:足立桂一郎 研究室)。ですので、出身研究室は?と聞かれると答えに困ることがあります(笑)。
M1で将来の就職先を考えていた際に、森島先生に「積水化学に興味がある」とご相談したところ、「君は積水化学に向いている!」とすぐに紹介状を書いてくださり、トントン拍子に内定が決まりました。それから30年、やりがいのある仕事を続けさせてもらっており、森島先生が見抜かれたとおり、私に向いていた会社だったのだと思います(森島先生は積水化学での勤務歴があり、当社の雰囲気をよくご存じでした)。
これからの大阪大学理学研究科・理学部について、提言等ありましたらお教えください
化学系企業では製品化に向けた応用開発に力を入れるようになっており、基礎的な研究をすることが難しくなっています。特に近年はマテリアルズインフォマティクスを代表として、素材開発にもAIを活用することが増えていますが、AIが導き出した答えを咀嚼して最適な材料に仕上げるためには、原理やメカニズムの理解が非常に重要です。
理学部・理学研究科には、その原点である「普遍的な真理や法則を研究し、新たな知を創造する」ことに引き続き力を注いでいただきたいと思います。
今後やってみたいことはどのようなことでしょうか
当社は関西発祥の企業であり、大阪と京都に研究所を構えていることから、阪大卒の従業員や研究員が数多くいます。しかし数が多すぎるためか、あえて同窓生を意識する機会が少なく、卒業生同士のコミュニティは弱いのが現状です。
近年、職場の近くに阪大の東京オフィス「HANDAI Tokyo Square」ができましたので、社内外問わず阪大OB/OGのコミュニティから何か新しいものを生み出すことができれば面白いな、と思っています。
理学友倶楽部の部員にメッセージをいただけますでしょうか
定期的に学生の皆さんに講義をする機会があるのですが、その際に伝えているのが、自らの「原点」を大切にしてほしい、ということです。今の専門領域を選択したきっかけや原体験があるはずで、その想いを忘れないでいてほしいと思っています。
研究活動で得られた知識や専門性はとても価値があるものですが、それらを活かすには自らの熱意や理念がより重要になってきます。「原点」はその基軸、羅針盤になってくれるはずです。
最後にひとこと
学生時代は、自らの可能性を無限に広げられる貴重な時間です。勉強や研究はもちろん、新たなコミュニティへの参加や未知の分野への挑戦など、ぜひ多様な経験を積み重ねてください。
成功だけでなく、時に経験する失敗や試行錯誤のプロセスが、「人生の肥やし」となります。多様な経験を活かして、これからの社会で活躍してほしいと思います。









































