先輩を訪ねて

Persons



現在はどのようなことをされていますでしょうか

当社の技術を従来とは異なるマーケットに適用する機会を世界中で模索しています。ここ数年は、中東でのネットワークやセキュリティ技術の適用、英国のユーティリティ企業との公共資産の劣化診断技術の共同研究、アジア圏での公的団体での電力消費量の予測など、新しい技術と新しいニーズのマッチングを最前線で進めています。

現在の活動(研究も含め)はどのようなきっかけで始められたのでしょうか

自分が開発した技術や製品が世に出る。人に使ってもらう。もちろん物を作り上げる事が一つの大きな喜びですが、それ以上に自分たちが生み出した成果が、実際にマーケットで採用して頂いた人の役に立つ。その喜びを発見したことです。

大阪大学理学研究科時代に、心がけていたこと・大切にしていたことは何ですか

演繹的であること、でしょうか?専攻が理論であったため、そんな志向でした。特に理由もなく、なぜだか演繹的な思考に拘っていました。
もちろん、一方向で物事が成り立つわけではなく、帰納的であること、具象から抽象も非常に大事であるのは当然ですが、その後社会に出てから、思考の方向性に拘ることは製品開発やあるいはいろいろな問題解決の現場で、汎用化する・具体化する、問題解決の手法として非常に役に立ちました。

大阪大学理学研究科時代に印象的なエピソードがあればお教えください

誤解を恐れず、最近の言葉で言えば、"ブラック"でしょうか。
深夜週末を含め、研究所はいつも人が一杯、仮眠のためのソファーも取り合いでした。
ただ、時代背景もあるのでしょうか、やらされ感や疲れ切った雰囲気は一切なく、いつも活気にあふれ、当番制で夜食を作るなど、もしかすると最近の学生の方から見れば信じられないかもしれませんが、和気あいあいとした生活を送っていました。

これからの大阪大学理学研究科について、提言等ありましたらお教えください

平均寿命は10年で2歳延びており21世紀生まれの人は100歳まで生きることができるといわれています。
これまでの「学ぶ」、「働く」、「引退する」といった生き方そのもののモデルが変わるかもしれません。その中で、学ぶことの目的や学ぶ人の年齢などこれまでとは大きく変わるかもしれませんね。

今後やってみたいことはどのようなことでしょうか

人生半世紀を超え、大学を出るまでの時間よりも大学を出てからの時間のほうが長くなりました。人生の折り返し地点はすでに超えていると思いますが、これからも常に新しい処で、新しい事を、新しい人たちと始めていきたい。「日々新たに」の気持ちで、いつも好奇心をもって事に当たりたいと考えています。

理学友倶楽部の部員にメッセージをいただけますでしょうか

新たなコミュニティー、交流の場としてますます発展を期待いたします。学び・働き・余生という従来からの生き方が変わりつつある現在、このようなコミュニティーでの出会いや交流が、実りある人生にはより重要になります。更なる発展を!

札幌勤務時代(2013年)北海道大学にて

経歴

1987年

大阪大学理学研究科博士前期課程修了
NEC入社

1996年

NEC Systems Laboratry マネージャ

2012年

OSS推進フォーラム 主査

2013年

北海道NECソフトウェア取締役

2016年

NEC主席事業主幹

2017年6月1日 掲載