先輩を訪ねて

Persons



現在はどのようなことをされていますでしょうか

阪大時代の研究を継続発展させております。3次元時空の空間的極大曲面が「折り目」とよばれる特異点を持つと、時間的極小曲面に解析的に延長されます。その延長が自己交叉と特異点をもたない美しい曲面になっていることが多く、現在はそれに魅せられて研究をしております。また、曲面に現れる代表的な特異点に対して、等長変形を施して特異点をある標準形にまで変形する問題に取り組んでおります。

現在の活動(研究も含め)はどのようなきっかけで始められたのでしょうか

最初は平均曲率一定曲面、あるいはガウス曲率一定曲面の大域的研究をしていたのですが、次第に頻繁に現れる特異点に興味を感じて、その判定法の研究を始めたのがきっかけです。

大阪大学理学研究科時代に、心がけていたこと・大切にしていたことは何ですか

現在、大学教員は研究だけでなくあらゆる仕事をそつなくこなすことを求められているように感じております。教授になってからは、学内の事務仕事と、研究、授業の準備、学生の指導などをバランスよくこなせるようスケジュールと健康管理に心がけておりました。

大阪大学理学研究科時代に印象的なエピソードがあればお教えください

阪大に勤務するようになって自己の視野を大きく広げることができました。阪大には非常に優れた同僚の方々が大勢おり、その方々と打ち解けた雰囲気の中で研究交流や授業の意見交換をすることができました。また、講師時代、 ドイツの MaxPlank 研究所に1年半ほど行かせていただき、海外の研究者と交流するようになりました。そこで知り合った外国人の研究者とは今も共同研究を続けております。

これからの大阪大学理学研究科について、提言等ありましたらお教えください

さまざまな外圧により、大学はいま、多くの変革をせまられているように思いますが阪大は割合うまく、この大波を乗りこなしているように思います。今後も是非、今まで通り理学研究科の教員の元気を維持するよう皆で知恵を絞っていただければと思っております。

今後やってみたいことはどのようなことでしょうか

現在、数学専攻ではなく情報科学科という処に所属し、異分野の方と知り合い、新しい経験を積んでおります。できれば年齢に負けず、これから自分の研究視野を広げていきたいと思っております。

理学友倶楽部の部員にメッセージをいただけますでしょうか

理学部の発展と、皆様のご活躍を祈っております。

最後にひとこと

関西に長らくおり、東京に戻ってきたせいでしょうか、関東人がやけに生真面目に感じております。ときどき大学運営の会議などで発言者に関西的なトッピングを振りかけたい衝動にかられます。

職歴

1984年

慶應義塾大学工学部数理工学科卒

筑波大学大学院 理学修士 取得後、
筑波大学 助手
大阪大学 助教授
広島大学 教授
大阪大学 教授
東京工業大学 教授

2015年04月01日 掲載