理学友倶楽部だより

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2021.11.11

新任の教員よりごあいさつ:生物科学専攻に着任した古屋 秀隆 教授

古屋 秀隆

Hidetaka Furuya

大阪大学大学院理学研究科
生物科学専攻
2021年5月 着任

現在の研究の概要について教えてください

生物のかたちは多様で、それぞれに成り立ちがあります。どのような過程を経てそのようなかたちに至ったのかを研究しています。大学院入学時から、ニハイチュウという細胞数が20-40個ほどの体のつくりが単純な動物を研究対象としてきました。この動物は多細胞動物の起源を探る上で重要な動物と考えられてきました。このニハイチュウの発生、生態、進化、ゲノムを総合的に研究し、そのかたちの成り立ちを説明しようとしています。

この道を選んだ理由を教えてください

幼少時から自然の不思議や神秘性に興味をもち、自然を観察して考えることを仕事にしたいと思っていました。小学生のとき、母親が光学顕微鏡を買ってくれました。顕微鏡でのぞく世界には、肉眼で見る世界とは違った不思議があり、そのときから顕微鏡をのぞいて仕事をしたいと思うようになりました。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

現在、研究対象の動物を調べている研究者は、世界に私だけです。何か発見があると、多くの場合世界初の発見となり(独りで)感動します。これまで新種を64種も発見しました。しかし、他に専門家がいませんから、多くの研究を自分自身で行わねばならず、その分、研究の進展は他の研究に比べてかなりスローペースとなります。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

助手に着任する以前は、アメリカのサンタバーバラ自然史博物館で客員研究員をしていました。博物館では、F. G. Hochberg博士と共に分類学的研究を行っていました。私が大阪大学で学術振興会の特別研究員をしているときに、博士から一通の手紙をいただきました。博士が私の論文を読み感激したそうです。一緒に研究をしないかと、お誘いをいただきました。それが博士との出会いでした。2年間の留学でしたが、日本にはない異国の文化を学びました。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

キャンパスに待兼山があり、池もあります。キャンパスにキツネやタヌキがいる自然が残っているという立地がすばらしいと思います。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

幸運にも、私にとって自身の特性に合った仕事に出会えたことが一番の幸せです。よって、100年経ても誰も研究しないだろうと思われる領域、私にしかできない研究を続けて行きたいと思っています。そのような道に導いて下さった先輩方に感謝し、私自身も、学生個人がもつ特性を引き出すことを意識しながら教育を行いたいと思っています。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

理学研究科に入学して最初に感じたことは、事務職員のみなさんが大変親切だと感じました。教員になっても大変お世話になっています。本研究科の自慢は、そのような事務のみなさまだと感じます。

最後にひとこと

第一級アマチュア無線技士でもあり、無線局(コールサイン:JP3QEV)を運用しています。山に登り自然を観察し、山頂で無線交信をしています。また、古くさい人間です。西洋の古典音楽を聴き、日本の古典文学(特に和歌)を読んでいます。

大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 動物形態学
→ホームページ

略歴

1988年

島根大学 理学部 生物学科 卒業

1991年

大阪大学 理学研究科 生理学専攻 博士前期課程 修了

1994年

大阪大学 理学研究科 生理学専攻 博士後期課程 修了

1995年

日本学術振興会 特別研究員

1997年

Santa Barbara Museum of Natural History 客員研究員

1999年

大阪大学 理学研究科 生物科学専攻 助手

2007年

同 准教授

2021年

同 教授