理学友倶楽部だより

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2020.06.26

新任の教員よりごあいさつ:宇宙地球科学専攻に着任した桂木洋光教授

桂木 洋光

Hiroaki Katsuragi

大阪大学大学院理学研究科
宇宙地球科学専攻
2020年4月 着任

現在の研究の概要について教えてください

粉体を中心としたソフトマターの基礎物性解明とその地球惑星科学現象への応用について、主に実験的手法により研究しています。具体的には、衝突クレーター形成、振動による地形緩和、スナガニの生態、ゲルのパターン形成、脆性破砕、フラクタル地形などの現象を扱ってきました。計測手法や実験系の考案、装置開発などにも楽しんで(苦しんで)取り組んでいます。

この道を選んだ理由を教えてください

「自然の理」に迫る理学と「もの作り」を志向する工学の両方に興味があり、研究は好きだったのですが、民間企業での研究も経験したいと修士修了後に企業へ就職しました。基本的にはいろいろなことを経験してみたいと今でも考えていますが、不惑を迎える頃から「惑わず」というより「惑えず」という感じで現在の専門に興味が収斂していきました。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

身近なスケールで起こっている事象と地球惑星的スケールで起こっている現象が同じ物理法則で繋がっているというようなことを見い出せると興奮します。一方で、宇宙や地球のスケールで起こる現象に室内実験で迫るには様々な限界もあり、それらをどのように小賢しく「ごまかせるか」が難しく面白いところだと感じています。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

修士課程修了後、しばらく民間企業で働いていました。いろいろと考えるところがあったタイミングで、九州大学の助手として採用して頂きました。その後、縁あって米ペンシルバニア大学で粉体物理の研究を始め、2011年に名古屋大学に着任し粉体と地球惑星の融合を合い言葉に研究していました。「物理に立脚して新しい宇宙地球科学を創る」という現所属専攻の方針に感銘を受け現在に至っています。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

着任以来、感染症拡大防止対策のために交流等の機会がほとんど持てていませんので、なかなか印象を語ることは難しいですが、高分子科学専攻や宇宙地球科学専攻などの特色のある専攻を擁することから独自性を尊重する気骨のある研究科という印象を持っています。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

研究ではいつもコロンブスの卵的な簡単な実験を目指したいと思っています。高精度計測等で「ここでしか測れない」実験よりも、アイデア勝負で「ここでしか測らないだろう」というような(ときにバカバカしいような)実験を元に、シンプルに物理と地球惑星現象の解明に迫りたいと考えています。教育では学生を信じ待つことで成長を促せるようなスタイルを目指したいです。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

大阪は古き良き伝統と新しく革新的な潮流が出会う文化の交流点のように感じています。その地の利を活かしつつ独創的な研究を展開されている皆さんに遅れをとらぬよう精進いたします。

最後にひとこと

関西に住むのは初めてです。気の利いた面白いことは言えないですが、どうぞお手柔らかに。

大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻 ソフトマター地球惑星科学
→ホームページ

学歴

1996年3月

九州大学理学部地球惑星科学科卒業

1998年3月

九州大学大学院工学研究科応用物理学専攻修士課程修了

2004年9月

博士(理学)取得

職歴

1998年4月

(株)三菱総合研究所 所員/研究員

2002年1月

九州大学大学院総合理工学研究院 助手(2007年より助教)

2005年〜
2007年

ペンシルバニア大学 客員研究員

2011年4月

名古屋大学大学院環境学研究科 准教授

2017年

ブラウンシュバイク工科大学 客員研究員

2020年4月

大阪大学大学院理学研究科 教授