理学友倶楽部だより

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2019.02.06

新任の教員よりごあいさつ:生物科学専攻に着任した石原直忠教授

石原 直忠

Naotada Ishihara

大阪大学大学院理学研究科
生物科学専攻
2018年4月 着任

現在の研究の概要について教えてください

ミトコンドリアは酸素呼吸によりエネルギーを産生する細胞内小器官(オルガネラ)です。哺乳動物細胞の生細胞観察を行うと、ミトコンドリアが活発に動き、また融合と分裂を繰り返す様子を観察できます。私はこのミトコンドリアの動きに興味を持ち、膜構造を変化させる分子機構(膜上での酵素の働き、制御に関わる因子の同定)や、その変動の意義(人為的にミトコンドリアの形を変化させると何が起きるか?)を調べています。

この道を選んだ理由を教えてください

「実験する生活」にあこがれて理学部の大学院生を目指しました。生化学を志して生物学科に入りましたが、野外実習などで山や川で遊べて、九州の自然にたっぷり触れあえて素敵でした。そこで出会った先生方の熱意に共感してオルガネラの研究を始めました。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

雑多な実験データの中から、その背景にある未知なる本質(の糸口)を見出せた時はうれしいです。また過去に報告した自分の説や手法が、いつのまにか研究領域で一般化して使われるようになっていると、とても誇らしい気持ちになります。でも自称「素晴らしい発見」が、論文投稿時にがんばってもさっぱり相手にされないと、世界に取り残されたような寂しい気持ちになります。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

九大の大村恒雄先生・三原勝芳先生のもとでオルガネラ研究の基礎を学びました。ポスドクとして基礎生物学研究所の大隅良典先生の研究室に参加したところ、ちょうどオートファジー研究が大きく発展していく時期に遭遇し、日々興奮の研究生活を送りました。その後、三原先生と水島昇先生(当時は東京医科歯科大学)にサポートいただきながらミトコンドリアの研究を続けて、久留米大学分子生命科学研究所で自分の研究室を始めました。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

学生のみなさんは真面目で勤勉で勉強する意志も高いようなので、講義の準備はかなりがんばる必要があることがわかってきました。日進月歩の生命科学の進展をお伝えできるように、がんばります。学生さんたちがどのような目的意識をもっているか、何を知りたいか、などもっと理解したいです。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

研究室員のみんなで力を合わせて、「これまでに思ってもみなかった」ようなことを見つけたいです。いろんな「ありえない」可能性を考えて、実験で検証して結果を議論して、一生懸命に研究を転がしていきます。研究が予想外の展開をしていく時が一番楽しいので、若い方々の自由な発想をたくさんもらいたいです。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

皆様方のミトコンドリアや関連研究でお手伝いできることがあれば、ぜひ貢献したいと思っています。

最後にひとこと

どうぞよろしくお願いします。

大阪大学大学院理学研究科 生物科学専攻 細胞生命科学研究室
→ホームページ

職歴

1993年

九州大学 理学部 卒業

1998年

九州大学 医学系研究科 博士(理学) 取得

1998年

基礎生物学研究所 非常勤研究員

2000年

九州大学 医学研究院 助手

2007年

東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 助手/助教/講師

2010年

久留米大学 分子生命科学研究所 教授

2018年

現職