理学友倶楽部だより

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2017.08.02

新任の先生よりごあいさつ:物理学専攻に着任された兼村晋哉先生

兼村 晋哉

Shinya Kanemura

大阪大学大学院理学研究科
物理学専攻
2017年4月 着任

現在の研究の概要についてお教えください

ニュートリノ振動、暗黒物質、物質と反物質の非対称性等、素粒子の標準理論を超えた未解決の諸現象を統一的に説明できる新理論を探究しています。切り口としてヒッグス粒子に注目しています。ヒッグス粒子は5年前に発見されましたが、その正体や対称性の自発的破れの力学的要因は依然として未知です。ヒッグス物理が上に述べた未解決諸現象と関係しているとの立場で、新しい物理理論に実証的に迫る為の理論研究をしています。

この道を選んだ理由をお教えください

理科は早い時期から大好きでした。中学で初等幾何の証明問題を通じて論理の面白さに気づき、高校では自然法則が美しい数式で記述できることに感動しました。根本的な事を学びたいと思い、物理学科に入って素粒子論を選びました。生き残るのが厳しい世界と聞いていたので、大学院からは無我夢中で研究しました。結果的には研究者として生き残ることができましたが、研究が面白くて、たぶん性に合っていたのだと思います。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

自然を描写する単純で美しい基礎理論に到達するのが夢です。しかし現実のデータを全て説明する美しい理論となると、中々うまくいかない。素粒子の標準理論もヒッグス粒子の部分等に問題があります。また標準理論では説明できない諸現象も知られています。将来、より深くて美しい基礎理論に書き換わるはずです。全ての自然現象を説明できる根本的な理論を考えることは極めて難しく、それだけにやりがいのある事です。

大阪大学理学研究科に来られる前はどちらで研究されていましたか?
こちらに来られるまでの経緯などもお教えください

昨年度まで10年余り富山大学にいました。北アルプスの自然が素晴らしく、また魚がとびきり美味しい場所でした。阪大で博士号を取得してからは、まず学振特別研究員としてつくば市の高エネルギー物理学研究所に行きました。その後ドイツ、アメリカの研究機関でポスドクをやりました。やがて助手として阪大に戻り、しばらくして富山大学に移りました。今年度からまた阪大に戻ることになり、三度目の阪大ライフが始まったところです。

大阪大学理学研究科についての印象をお教えください

緑の多い豊中キャンパスの雰囲気が好きです。本学の理学研究科には研究に対して意識の高い研究者、学生が多く、素晴らしい刺激になります。物理学専攻のウェブページに書かれている、「独創性を重んじる研究第一主義の伝統」っていいですね。ぜひそうありたいと思っています。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあればお教えください

阪大は戦前に湯川秀樹が核力の研究により素粒子論という学問を創始した所です。その流れを内山龍雄や吉川圭二を始め錚々たる方々が発展させてきました。歴史ある研究室を受け継ぐことになり光栄に思っています。世界をリードする新研究を行い、新成果を阪大から世界に向けどんどん発信して行きたいと思います。その為にも若い優秀な頭脳が伸び伸び研究できる環境を作り、研究室全体のアクティビティ向上に努めます。

理学友倶楽部の部員に
メッセージをいただけますでしょうか

みなさまと一緒に理学研究科・理学部を盛り上げて行きたいと願っています。これからどうかよろしくお願いいたします。

最後にひとこと

実は私の本籍は大阪府豊中市待兼山町1番にあり、阪大理学研究科の住所と同じであるというのが少し"自慢"です。

大阪大学 大学院理学研究科 物理学専攻 素粒子論研究室
→ホームページ

学歴

 

1996年

大阪大学理学研究科(理学博士)


職歴

 

1996年

高エネルギー物理学研究所 学振研究員(PD)

1998年

カールスルーエ大学 博士研究員

2000年

ミシガン州立大学 博士研究員

2001年

高エネルギー加速器研究機構 研究機関研究員

2003年

大阪大学 理学研究科 助手

2007年

富山大学 理工学研究部(理学) 准教授

2017年

大阪大学 理学研究科 教授