理学友倶楽部だより

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2017.07.04

新任の先生よりごあいさつ:宇宙地球科学専攻に着任された松本浩典先生

松本 浩典

Hironori Matsumoto

大阪大学大学院理学研究科
宇宙地球科学専攻
2017年4月 着任

現在の研究の概要についてお教えください

私の研究には2つの柱があります。1つは、宇宙X線を観測することです。X線の発生は、その天体で高エネルギー現象が起こっていることを意味します。例えば数千万度以上の高温ガスの発生などです。可視光ではわからない、宇宙の意外な「激しい」姿が見えてきます。もう1つの柱は、X線観測のための観測装置の開発です。特に、我々の研究室はXARM衛星計画のX線CCDを開発することが最重要課題です。他にも将来の観測のために、新しい観測装置の開発に挑戦したいと思っています。

この道を選んだ理由をお教えください

私は天文少年ではありませんでしたが、物理学が好きだったので、大学では理学部に入りました。大学で物理学の色々な分野をかじってみると、宇宙物理の分野の研究には、力学から量子力学・相対性理論と、ありとあらゆる話題が出てくることを知りました。その「ごちゃまぜ感」がなんとも気に入り、宇宙物理学の研究者を目指しました。宇宙物理の中でもX線天文学を選んだのは、ブラックホールを始めとする、いわゆるエキゾチックな天体を観測研究することが面白そうだったからです。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

未知の現象の発見にやりがいを感じます。最近では、定期的に食を起こすことが知られているX線星が、あるとき食を起こさなかったことを発見しました。これは、起こるはずの日食が起きなかったことと同じです。その原因は今でもよくわかっていませんけど、そういう未知の現象を発見したとき、やりがいを感じます。自分で手がけた観測装置でそのような発見が出来ると、より一層やりがいを感じます。X線天文学は人工衛星を使う大型プロジェクトになることが多いので、大型実験ならではの難しさを感じます。

大阪大学理学研究科に来られる前はどちらで研究されていましたか?
こちらに来られるまでの経緯などもお教えください

ポスドク生活の後に、京都大学大学院理学研究科で助教になりました。X線で宇宙線の起源を探るという研究をしていました。また、2005年に打ち上げたすざく衛星のX線CCDの開発に従事していました。その後、2010年に名古屋大学に異動し、2016年に打ち上げたひとみ衛星の硬X線望遠鏡の開発をしました。これは新しいタイプのX線望遠鏡で、ほとんどを名古屋大学の中で製作しており、その製造過程を指揮しました。今回縁があって大阪大学にやってくることになり、ほぼ7年ぶりの関西復帰です。

大阪大学理学研究科についての印象をお教えください

多くの有名な物理学者がおられた大学だという印象があります。私の所属する宇宙地球科学専攻は、宇宙科学と地球科学が合体した、ほかにあまり例をみないユニークな組織だと思います。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあればお教えください

2016年に打ち上げたX線天文衛星ひとみが事故で短命に終わり、日本のX線天文学は現在苦しい時代に入っています。ひとみ衛星の後継機であるXARM衛星計画をなんとしても成功させて、この衛星を使って驚くような発見をしたいです。そして、日本の宇宙科学に活気を与えたいです。

理学友倶楽部の部員に
メッセージをいただけますでしょうか

宇宙X線は、地球大気に吸収されてしまうので、X線天文学は人工衛星やロケットなどの飛翔体抜きには出来ません。大掛かりな実験になることが多く、それだけに皆様のご理解とご支援が必要です。どうかよろしくお願いいたします。

最後にひとこと

宇宙の研究にも色々な手法があり、それぞれに魅力があります。私はX線天文学の醍醐味は、宇宙の意外な姿の発見だと思っています。何か新しい発見をしたいという学生のみなさま、いっしょに研究しましょう。

大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻 X線天文学研究室
→ホームページ

学歴

 

1998年

京都大学 博士(理学)


職歴

 

2002年

京都大学大学院理学研究科 助教

2010年

名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構 准教授

2017年

大阪大学大学院理学研究科 教授