理学友倶楽部だより

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2016.03.07

新任の教員よりごあいさつ:生物科学専攻に着任した昆隆英教授

昆 隆英

KON, Takahide

大阪大学大学院理学研究科
生物科学専攻
2015年4月 着任

現在の研究の概要について教えてください

私たちの体を構成する細胞は,さまざまな物質を必要な時に必要な場所に供給する効率的な輸送システムを内包していて,その機能は生命活動に必須です。私達の研究室では,この細胞内物質輸送とロジスティクスの分子機構を,原子レベルの構造解析と1分子レベルの機能解析の両面からのアプローチにより明らかにすることを目指しています。

この道を選んだ理由を教えてください

高校時代は物理と化学ばかり勉強していましたが,大学に入って,ほぼ初めて生物学を学んでみると,これが面白い。生物学にのめりこんで25年,ここまで来ました。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

研究をやっていて,最もやりがいを感じるのは,もちろん新しい発見をした瞬間です。特に構造生物学分野では,自分たちが長年追い求めてきた生体分子の構造(電子密度)をはじめて見たときの喜びはなにものにも代えがたい!困難さを感じるのは,うまく行かない研究テーマをどこまで粘るかの判断ですね。大怪我する前に撤収するか,それとも人生を賭けるのか・・・。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

私は,2000年に東京大学大学院総合文化研究科で学位を取得し,同研究科・須藤研・助教として研究者としてのキャリアを開始しました。その後,2009年から大阪大学蛋白質研究所・栗栖研・准教授として,構造生物学に特化した研究を行い,2012-2015年の法政大学・教授としての教育研究活動を経て,2015年に大阪大学理学研究科に着任しました。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

最初の印象は,「どっしりした感じ」ですね。理学研究科の建物は,比較的低層で,敷地面積はとても広く,そして余計な飾り付けがない。研究・教育でも,このような重厚な基盤から,世界で勝負できる成果をあげていきたいですね。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

理想は,生命科学の未踏領域に理学研究科の学生とともに切り込んでいくことです。が,なにが未踏なのかを見つけることが難しい・・・。たった一つのシードから研究は大きく発展するものだと思います。人の真似をせずに,完全オリジナルかつでかいシードを3つは見つけたいですね。在職中に。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

では学生のみなさんへ:人生とは,チャレンジする課題を見つけ,情報を集め,挑戦し,成果を発信することの繰り返しだと思います。そのための基礎を磨き,仲間を集め,メンターを見つける,そのような学部・大学院生活になるよう,一緒に頑張りましょう。

最後にひとこと

「新しい分野や技術に取り組むことを躊躇しない」をポリシーとしています。

大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 昆研究室
→ホームページ

職歴

2000年3月

東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了

2000年4月

同研究科助手

2007年4月

同研究科助教

2010年11月

大阪大学蛋白質研究所准教授

2012年10月

JSTさきがけ研究者兼任

2013年

法政大学生命科学部教授

2015年4月より

現職