理学友倶楽部だより
News
2026.09.07
新任の教員よりごあいさつ:高分子科学専攻に着任した寺島 崇矢 教授
寺島 崇矢
Takaya Terashima
大阪大学大学院理学研究科
高分子科学専攻
2026年4月 着任
現在の研究の概要について教えてください
「高分子をコードする:高分子に構造や機能、自律性をプログラム化する」というコンセプトを掲げて、高分子合成化学の研究を進めています。この実現に向けて、親水性と疎水性の部分からなる両親媒性高分子を設計し、その自己組織化(※1)システムを開発するとともに、その手法を用いて自己組織化材料を創出しています。例えば、両親媒性高分子の分子構造(鎖長、親水性/疎水性基の構造や割合、配列)を制御することで、まるで意識をもつように水中で相手を動的に識別して会合するミセル(※2)や、水と親和性をもち湿度に応答するナノチャンネル材料など、革新的な高分子材料の創製に成功しています。
※1 自己組織化 分子同士が、お互いに引き合う力などを利用して自発的に(ひとりでに)集まり、まとまった秩序ある構造を作り出す現象。
※2 ミセル 両親媒性分子が、水の中で自然に集まって作る球状などの集合体。
この道を選んだ理由を教えてください
偶然と巡り合わせでこの道に辿り着きました。子供の頃は、自動車の研究開発やデザイナーの仕事をするのが夢でしたが、紆余曲折の末、大学で化学の道に入りました。当初、化学の道で人生を切り拓くイメージは持てずにいましたが、大学4年生の時に研究室に配属され、研究テーマの実験に取り組んだことをきっかけに、状況が一変しました。化学をツールに分子をデザインして具現化できる点に魅了され、博士号取得後にご縁があり大学での研究者・教員の道に入りました。
現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?
やりがいを感じる時:1)自分の思い描いた分子を設計・合成できた時;2)その分子が予想をはるかに超えた特性を示し、機能を発現する瞬間を目の当たりにした時;3)その研究成果や喜びを、共に研究に取り組む学生や研究者と分かち合える時。
難しさを感じる時:研究がうまくいかない、思うように進まない…と難しさを感じた時は、むしろチャンス。予想と異なる結果の背景にある真実を追究し、そこから研究のブレークスルーを目指しています。
大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください
着任前は、京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻において准教授を務めていました。前職の研究室は、精密高分子合成と精密重合を専門としており、私は同研究室で博士後期課程を修了した後、助教に着任しました。その後、新たな研究展開を目指し、超分子化学の分野で著名なオランダ・アイントホーヘン工科大学のE. W. (Bert) Meijer研究室に1年滞在する機会を頂きました。ここで得た経験や研究成果が大きな転機となり、現在の研究へと展開しました。
大阪大学理学研究科についての印象を教えてください
高分子、化学、物理、生物、宇宙、数学など、多彩な科学分野が集まる研究科で、これまでに経験したことのない学際的な研究環境に日々刺激を受けています。
大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください
誰も見たことのない事実や現象を見出し、世界初のサイエンスを実現する。
そのサイエンスに基づき、社会や人々に貢献する革新材料創成を実現する。
理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします
多彩な科学分野が集まる環境を最大限に活かして、分野の垣根を越えた新しい研究へと発展させていきたいと考えています。誰も創ったことのない分子をデザインし、自ら創り出す。学生さんには、そんなデザイナーを目指してほしいと思います。
最後にひとこと
(学生さんへ)
自分のこれまでを振り返ると、子供の頃には想像もつかなかった今があります。学生さんの中には、今の状況や環境が当初の目標とは違い、将来について悩む方も多いと思います。でもそのような状況は、むしろチャンスです。元々目指していたことや趣味などから得た経験や感覚は、他の人と全く異なる独自の感性や視点として、必ず目の前の分野や仕事に活きる時が来ます。大学や大学院での研究教育活動を通じて、皆さんが自信をもって社会に出ていける経験を積む場を提供したいと思います。
大阪大学 大学院理学研究科 高分子科学専攻 高分子合成化学研究室
→ホームページ
学歴
2002年3月
京都大学工学部工業化学科 卒業
2004年3月
京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻修士課程 修了
2007年3月
京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻博士後期課程 修了
職歴
2004年4月
日本学術振興会特別研究員(DC1)
2007年4月
京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 助教
2009年10月
オランダ・アイントホーヘン工科大学 客員研究員
2018年4月
京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 准教授
2024年10月
JSTさきがけ研究者(さきがけ「材料の創製・循環」領域)(併任)
2026年4月
大阪大学大学院理学研究科高分子科学専攻 教授

