理学友倶楽部だより
News
2025.03.05
新任の教員よりごあいさつ:生物科学専攻に着任した進藤 麻子 教授

進藤 麻子
Asako Shindo
大阪大学大学院理学研究科
生物科学専攻
2023年11月 着任
現在の研究の概要について教えてください
アフリカツメガエルの卵やオタマジャクシを使って体の形ができる仕組みを調べています。特に、栄養環境や物理的な力が体の形を決めるために重要な要素になりうることに注目して、餌や水質を変えてオタマジャクシの体や臓器の形に影響が出ないか3Dイメージングで解析しています。影響が出た場合に、栄養や力に応答する細胞運動や遺伝子発現を検出して、体や臓器の形ができる仕組み、形が制御される仕組みを明らかにしようとしています。
この道を選んだ理由を教えてください
学部時代の獣医学部で動物の病気をたくさん見る中、体の作りそのものに興味をもちました。なぜ正常な体が壊れて病気になるのかを理解するためには、体がどうできるかを解明する発生生物学を学ぶ必要があると考えたことがきっかけです。当時は発生生物学分野の論文を読んでも深くは理解できず、この分野にどっぷり浸かるしかないと思って博士後期課程からアフリカツメガエル胚を使った発生生物学の研究を始めました。博士号取得後、ポスドクとして留学したアメリカでこの道を行こうと思えることが数々あり、今に至ります。
現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?
実験をしている時と、研究を通して人とのつながりができる時にやりがいを感じています。研究を進める上で簡単なことはほぼないので全ての瞬間に難しさを感じますが、その難しさを打開するアイディアを思いついたり、人と話をして解決策を見つけたり、何度も実験を行いこれだと思える結果が出ることで研究が進むと楽しいです。
大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください
熊本大学の発生医学研究所(発生研)で独立准教授として研究室を運営していました。発生研は発生生物学の観点から医学に貢献しようとするユニークなビジョンを持った研究所で、獣医学部出身の私には大変勉強になる研究環境でした。全国でも多くはない独立准教授のポジションを設置し、若手・中堅の研究キャリアを強力にバックアップする研究所でした。発生研での研究生活で得たことは学生が多い学部での研究、教育にも活かせると思い、異動してきました。
大阪大学理学研究科についての印象を教えてください
人が多く、活発に行き交う印象です。学生たちが元気に話すところが良いと思っています。
大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください
研究テーマを進めることも目標ですが、学生や若い研究者が先を楽しみに研究できる環境を作ることも目指しています。
理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします
これまで移動の多い研究者人生で、様々な土地で暮らしてきましたが、不思議と大阪には縁がありませんでした。出張や旅行で訪れるたび、街の雰囲気も人も懐が深い印象で、ここに住めたらいいだろうにと思いました。そんな大阪に縁あって来られたことを大変嬉しく思っています。大阪大学での研究と、教育にも貢献できるように精一杯頑張ります。
最後にひとこと
カエルが好きな人は研究室に遊びに来てください。全く動かないおとなしいアフリカツメガエルが何十匹かいます。
大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 器官形態制御学研究室
→ホームページ
学歴
酪農学園大学 獣医学部卒業
総合研究大学院大学 生命科学研究科 基礎生物学専攻修了
職歴
基礎生物学研究所 博士研究員
米国テキサス大学 博士研究員
名古屋大学 大学院理学研究科 生命理学専攻 助教
同 講師
熊本大学 発生医学研究所 独立准教授
大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 教授