理学友倶楽部だより

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2025.03.17

新任の教員よりごあいさつ:化学専攻に着任した齊藤 尚平 教授

齊藤 尚平

Shohei Saito

大阪大学大学院理学研究科
化学専攻
2024年4月 着任

現在の研究の概要について教えてください

どのように動くか、どのように働くかを考えながら柔軟な分子を設計・合成し、見たこと・感じたことのない機能材料へと導く研究をしています。ナノサイズから手のひらサイズまでの物質を、スケールをまたいで扱います。

この道を選んだ理由を教えてください

いま振り返って後から理由を考えると、「自分で作ったものに自分の手で触れて、五感で体感できる分野だったから」、「新しいことへ挑戦するのが仕事であり、日々成長できるから」、「柔軟な発想で自由に生きられる方法を探していたから」だと思います。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

成長の実感を得られることから、新しい分野に挑戦するのが好きです。歳をとってある分野の経験が蓄積されると、その経験を教育に還元することが求められると思います。しかし、それでも大学教員は毎年学生たちと新しいことを求めて異分野に挑戦する研究ができますので、新鮮な気持ちで生きられます。
難しいのは、目の前の事務仕事に長く囚われすぎると、大きな絵を描くための哲学的な時間を取れなくなることです。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

2023年まで京都大学の理学研究科で准教授をしておりました。当時、有機系の教授陣が揃って定年退職した直後にコロナ禍へ突入し、専攻全体が究極的に人手不足となり、本当に大変だった記憶しかありません。コロナが収束し、落ち着いた環境で研究室をもつことができ、大変ありがたく感じております。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

お互いの研究をリスペクトし合い、個々が信じる学理を追究できるように全員で環境を整える努力をしており、尊いコミュニティだと感じます。事務機能もしっかりしており、一般には厳しいと言われる現代の大学にあって、皆で頑張っていると思います。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

機能分子化学とソフトロボティクス(ゴムやシリコーンなどの柔らかい材料を使ってソフトな動きを実現するロボティクス分野)を高度に融合させたマテリアルシステムを創出し、人々に新しい体験と感動をもたらす研究をしたいです。分子論と連続体の間に横たわる理解のギャップを、実験とシミュレーションの両面から繋いだマテリアルの学問体系を構築したいです。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

よく学生にアカデミアという職業の魅力を語れるかどうか考えますが、こういう説明はどうでしょうか。
・常に新しいことや凄いことを考えているのが仕事である
・超高齢化社会の中でも日頃から若者と未来のことを思い描いて生活できる

最後にひとこと

(学生さんへ)
最初に就職した企業が最後まで人生の面倒を見てくれる時代は終わった、と言われるようになりました。それならば、博士後期課程の3年で幅広い視野と数多くのスキルを獲得し、どこに行っても通用する人材となってから社会に出てみてはいかがでしょうか。世の中が不安定でも、自信に満ちた楽しい人生が送れるように全力でサポートします。

大阪大学 大学院理学研究科 化学専攻 機能分子材料研究室
→ホームページ

学歴

2005年3月

京都大学理学部卒業

2007年3月

京都大学大学院理学研究科修士課程修了

2010年3月

京都大学大学院理学研究科博士課程修了 (博士(理学)取得)

職歴

2010年4月

名古屋大学物質科学国際研究センター 助教

2012年4月

JSTさきがけ研究者(さきがけ「分子技術」領域)(併任)

2016年3月

京都大学大学院理学研究科 准教授

2016年10月

JSTさきがけ研究者(さきがけ「光極限」領域)(併任)

2021年4月

JST創発的研究支援事業 研究代表者(併任)
(2028年3月までの予定)

2022年2月

京都大学創発PI(併任)

2024年4月

大阪大学大学院理学研究科 教授