理学友倶楽部だより

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2025.05.28

新任の教員よりごあいさつ:化学専攻に着任した難波 康祐 教授

難波 康祐

Namba Kosuke

大阪大学大学院理学研究科
化学専攻
2025年4月 着任

現在の研究の概要について教えてください

天然には興味深い生理作用や薬理作用を引き起こす有機化合物が数多く存在します。これらの有機化合物を上手く利用して生体内や自然界で起こる現象を分子のレベルで理解することを目指しています。また、それらの有機化合物を医薬・農薬として実用化する研究や生体内での働きを明らかにするための分子プローブの開発なども行なっています。最近では、砂漠で穀物を栽培できる肥料を開発し、その実用化が進んでいます。

この道を選んだ理由を教えてください

高校時代は化学の成績が一番良かったので深く考えずに理学部化学科に進学し、大学では有機化学の講義が一番面白かったので有機化学の研究室を選びました。学生時代から特にこの道に進もうという考えはありませんでしたが、その時々の研究に常に全力で取り組んできました。目前の課題に全力で取り組んでいるうちに周りの協力や支援が得られ、自然と進むべき道が拓けてきたように思います。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

有機合成化学の醍醐味はこの世に存在しない分子も作れるということです。こんな分子があれば面白いな、と思ったら実際に作って確かめることが出来ます。自分が設計・合成した分子が世界を変えるかもしれないとワクワクするときにやりがいを感します。一方、実際に合成するまでに何年も掛かってしまったり、機能を確かめられるほど沢山作れないということも多くあります。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

2025年3月まで徳島大学薬学部で研究をしていました。2013年に徳島大学に教授として着任し、それから12年間徳島大学で研究と教育に尽力してきました。また2018年からは副理事として執行部で大学運営にも携わってきました。大阪大学でまた一から新しい研究室を作っていく機会が得られたことで、初心にかえって教育と研究に専念していきたいと思います。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

多岐に渡る研究が展開されていますが、全く違う分野の研究でもお互いに尊重する姿勢に感銘を受けています。また、着任して何も分からない状態の時に、多くの教員や事務職員の方々が嫌な顔一つせずに親切に色々と教えてくれました。研究環境も素晴らしく、良い雰囲気の研究科であることは間違いないです。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

世の中を変えるような分子を開発したいと思っています。そのためには、自然界で起こっている現象を分子のレベルで解明する必要があります。これまでの薬学研究科では実用化を志向した創薬研究が中心でしたが、理学研究科に来たことで自然界の謎の解明に迫る研究を推進していきたいと思っています。例えば、共生微生物はどのようにして宿主を選び共生を可能にしているのか?植物の根はどのようにして必要なミネラルを認識しているのか?などの謎の解明に迫りたいと考えています。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

これから阪大理学部の学生や教員の皆様と一緒に研究が行えることがとても楽しみです。お互いに切磋琢磨しながら良い研究が出来ればと思っております。厳しい批評でも結構ですので、何でもご意見いただければ幸いです。

最後にひとこと

これといった趣味はないのですが、美味しいお酒を飲むのは好きです。地域の地ビールやオススメの酒蔵などありましたら教えていただければ幸いです。

大阪大学 大学院理学研究科 化学専攻 生体分子化学研究室
→ホームページ

学歴

1996年

大阪市立大学理学部化学科卒業

2001年

大阪市立大学理学研究科化学専攻修了

職歴

2001年

コロラド州立大学 博士研究員

2003年

ハーバード大学 博士研究員

2005年

サントリー生物有機科学研究所 研究員

2006年

徳島文理大学薬学部 助手

2008年

北海道大学大学院理学研究院化学部門 講師

2011年

北海道大学大学院理学研究院化学部門 准教授

2013年

徳島大学大学院医歯薬学研究部 教授

2018年

徳島大学 副理事

2025年

徳島大学名誉教授

2025年

大阪大学大学院理学研究科化学専攻 教授