理学友倶楽部だより

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2024.11.19

新任の教員よりごあいさつ:化学専攻に着任した吉成 信人 教授

吉成 信人

Nobuto Yoshinari

大阪大学大学院理学研究科
化学専攻
2024年7月 着任

現在の研究の概要について教えてください

多数の金属イオンが集合した多核金属錯体の合成法の開発と固体化学に関する研究を行っています。複数の金属を段階的に組み合わせる錯体配位子法を軸に、様々な官能基をもつ多核金属錯体を合成しています。また、多核金属錯体は固体にすると大きな間隙空間が自発的に生じます。この空間を活用した分子包接、イオン輸送、化学反応についても研究しています。

この道を選んだ理由を教えてください

高校時代は地学部で、天文暦が書かれていた理科年表が愛読書でした。理科年表には化学/物理という章があって、色々な化学物質に関する物理定数が掲載されていました。サブリミナル効果みたいなものかもしれませんが、そのころから学問としての化学に興味がシフトしてきたように記憶しています。
錯体化学を専門に選んだのは、3年次の研究室配属の時に同期の友達から誘われたからです。偶然ながら良い分野を選んだな、と思います。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

多核金属錯体はどれだけ一生懸命反応をデザインしても、なかなか思う通りの化合物が得られることがない、という難しさがあります。一方で、予想外の生成物の中にはとても美しい分子構造をもつ金属錯体がしばしば見つかります。そういった偶然の出会いに錯体化学の魅力があると思います。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

2001年に理学部化学科に入学して以来、ずっと同じ研究室(錯体化学研究室)で研究しています。博士号取得のタイミングで研究室の教員に欠員があり、幸運にもそのまま助教に採用していただくことができました。学生時代から研究室を変わらないまま教授になるようなキャリアパスはかなり珍しいと思います。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

立地の面でも研究設備の面でも環境は抜群に良いです。研究者個々の研究活動を最大限尊重する雰囲気があって、とても居心地の良い空間です。逆に、研究者間で批評しあう文化がほとんどないので、個々の教員に自律や自主性を求められる組織だと思います。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

阪大理学部に入学してから23年が経ちました。偶然ですが定年まで23年残っています。阪大生活も折り返しを迎えましたが、これからは研究室主宰者として、学生さんとともに阪大理学部として恥ずかしくない、オンリーワンの研究成果を挙げていきたいと思っています。職位が上がるごとに実験台に向かう時間が減ってきておりますが、現場を離れることなく、金属錯体に向き合い続けることが個人的な目標です。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

学生の皆様へ:
阪大理学部には優れた研究設備があり、トップレベルの研究者と優秀な学生が多数在籍しています。このような環境の中で研究ができるのは、長い人生でも稀有な機会だと思います。阪大での研究生活を通じて自己研鑽とネットワーク作りを頑張ってください!

最後にひとこと

専門は化学ですが、プライベートでは天文現象の観望が趣味です。学生時代は天文同好会で活動していました。2001年11月のしし座流星群のバーストを見られたことが一番の思い出です。今は2035年の皆既日食を楽しみにしています。

大阪大学 大学院理学研究科 化学専攻 錯体化学研究室(吉成研究室)
→ホームページ

学歴

2005年

大阪大学理学部卒業

2007年

大阪大学大学院理学研究科博士前期課程修了

2010年

大阪大学大学院理学研究科博士後期課程修了

職歴

2010年

大阪大学大学院理学研究科 助教

2016年

大阪大学大学院理学研究科 講師

2019年

大阪大学大学院理学研究科 准教授

2024年

大阪大学大学院理学研究科 教授