理学友倶楽部だより
News
2022.06.03
新任の教員よりごあいさつ:数学専攻に着任した吉永 正彦 教授
吉永 正彦
Masahiko Yoshinaga
大阪大学大学院理学研究科
数学専攻
2022年4月 着任
現在の研究の概要について教えてください
超平面配置というものに主に興味を持っています。「n 次元空間内に n-1 次元の部分空間を何枚か置いたもの」が超平面配置です。数学の様々な分野に現れます。最近は、20・12面体という非常に美しい多面体に関係した配置について深く調べたり、点の数え上げ問題、低次元トポロジーに関係したことを調べています。他にも距離空間の不変量であるマグニチュードや、積分表示を持つ実数に関しても研究しています。
この道を選んだ理由を教えてください
中学生の頃、本やTV番組を通してアインシュタインや湯川秀樹の事績に触れ、宇宙論や素粒子論の研究者にあこがれていました。ある時「物理の研究には高度な数学が必要である」らしいと知り、ではまずは数学の勉強をしよう、と数学の勉強を始めたら、数学そのものが面白くなり、高校生の頃には数学者になりたいと考えていました。数学はマイペースでできる部分が大きいことが、自分の性格にあっていた気がします。
現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?
研究中のほとんどの時間は深い森に迷い込んだような状態で、どちらに行けばよいのかわからない、茂みに囲まれて身動きが取れない、少し進んだと思ったら同じところをぐるぐるまわっていただけだった、というのが常です。それでもごく稀に、急に景色がひらけて遠くまで見渡せるようになる瞬間や、遠く雲の上にそびえる頂まで、尾根伝いの道がハッキリ見えるような瞬間があります。自分にしかできないと信じるやり方でそのような探索を続けることにやりがいを感じます。また、他の人の優れた研究に触れ、様々な研究者との付き合いが持てることも素晴らしい体験です。
大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください
学位取得後は、日本学術振興会特別研究員として京都で2年、イタリアで1年半ポスドクをしました。その後神戸大学に職を得、京都大学、北海道大学と異動しました。北海道大学に10年務めた後、(北海道生活もとても気に入っていましたが、もともと兵庫県出身であることもあり)機会があれば関西に戻れたら、と思っていたところ、ご縁があって大阪大学で採用していただきました。
大阪大学理学研究科についての印象を教えてください
日本を代表して世界をリードする強力な研究者がそろっていると思います。コモンスペースの居心地も良いです。
大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください
離散的な構造(数え上げ問題など)と幾何学的な構造(図形の形)に関係した数学を幅広く研究したいと考えています。
理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします
大阪大学のモットー「地域に生き世界に伸びる」に即し、地道な教育活動と、国際的な研究活動をしたいと思います。学生さんとの共同研究を通して、自分の研究と教育を連動させたいです。
最後にひとこと
散歩や(軽い)ハイキングが好きです。大学のキャンパス内に山頂(待兼山)がある点を気に入っています。毎日ハイキング気分で通勤しています。
大阪大学 大学院理学研究科 数学専攻 吉永 正彦
→ホームページ
略歴
2004年5月
京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻数理解析系博士課程修了
2004年6月
日本学術振興会特別研究員PD
2006年4月
日本学術振興会海外特別研究員(ICTP, イタリア)
2007年9月
神戸大学大学院理学研究科助教
2009年4月
京都大学大学院理学研究科助教
2012年4月
北海道大学大学院理学研究院准教授
2017年10月
北海道大学大学院理学研究院教授
2022年4月
大阪大学大学院理学研究科教授