理学友倶楽部だより

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2020.06.26

新任の教員よりごあいさつ:数学専攻に着任した冨田直人教授

冨田 直人

Naohito Tomita

大阪大学大学院理学研究科
数学専攻
2020年4月 着任

現在の研究の概要について教えてください

この10年ほどは、実解析学の中の1つのトピックである多重線形作用素の研究を行っています。多重線形というと線形の単なる一般化ではないのかと、やや否定的な印象を持たれるかもしれません。しかし、問題によっては、線形の場合には起こらなかったような複雑で興味深い現象が多重線形の場合には起こることがあり、そのようなギャップを見つけることに重きを置いて研究に取り組んでいます。

この道を選んだ理由を教えてください

子供の時に、電車の切符に書かれている4桁の数字を足したり、引いたり、掛けたり、割ったりして10を作るというゲームを父親と一緒にするのが好きで、数字には興味がありました。大学の数学は、高校までの数学とは雰囲気が全く違い、もちろん挫折を味わいました。ですが、修士課程の時に、実解析 (フーリエ解析) に出会い、数学に対する強い興味を取り戻し、今に至るという感じです。

現在の研究でやりがいを感じるのはどんなときですか?
逆に難しさを感じるのはどんなときですか?

やはり、問題が解けた時の喜びというのは言葉では言い表せません。興奮して眠れなくなるくらいです。実際には、ほとんどの場合、見直してみると間違えていて、解けてなどいないのですが。ただ、その解けた時の興奮を味わうために、研究を続けているような気がします。

大阪大学理学研究科に着任前はどちらで研究していましたか?
着任までの経緯なども教えてください

大阪大学で博士号を取った後の2年間は、大阪大学でCOE特任研究員としてお世話になりました。その後、大阪大学で講師として働き始める前の半年間だけ、日本学術振興会の特別研究員として東京女子大学にいました。ですので、大阪大学にはお世話になりっぱなしです。

大阪大学理学研究科についての印象を教えてください

研究者として、そして教育者として非常に優れたスタッフが多く集まっているように思います。私もその中の一人になれるよう努力していきたいと思います。

大阪大学理学研究科で実現したいこと、目標などあれば教えてください

大阪大学の数学教室には偏微分方程式論の専門家が豊富に集まっています。専門外の勉強を始めるのはなかなか大変ですが、私も実解析だけではなく偏微分方程式のことをもっと学び、両分野を股にかけるような共同研究を大阪大学のスタッフと行えたらと思っています。

理学友倶楽部の部員にメッセージをお願いします

新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度は誰も経験したことのない状況になっています。近い将来、皆さんと笑顔でお会いできますように。

最後にひとこと

お蕎麦が大好きです。

大阪大学 大学院理学研究科 数学専攻 冨田 直人
→ホームページ

学歴

2006年

大阪大学大学院 理学研究科 博士後期課程修了

職歴

2006年4月~
2008年3月

大阪大学 COE特任研究員

2008年4月~
2008年9月

日本学術振興会 特別研究員

2008年10月~
2011年5月

大阪大学 理学研究科 講師

2011年6月~
2020年3月

大阪大学 理学研究科 准教授

2020年4月~

現職